「おっす」 「やぁ、」 部屋に荷物を運び込んでいる最中、突然掛けられた声には純粋な驚きを持って、デュークはどこか苦々しげに振り向くと。―――長身の幼なじみ二人が、笑顔で立っていた。 「僕らもここに住むことになっててね」 「お前の部屋の両隣に引っ越してきてたって訳。俺は左側、フレンは右側な」 思ってもいなかったお隣さんの登場に、実は少しだけ一人暮らしを寂しく思っていたは嬉しくなりぱああと笑顔を咲かせる。 その笑顔を直視したらしい、ユーリとフレンが真っ赤になって顔を逸らした。横から見てても威力は絶大で、デュークも僅かに頬を紅潮させている。 さて、は知らないことではあるが、デュークと幼なじみ二人は実は仲が悪い。悪いというか、のことを異性として好きな二人と、殆ど二人に近い感情で姪を溺愛するデュークであるので、この対立はある意味仕方がなかった。 が、ここに来ての独り立ち。どれだけ口すっぱく注意しようが、人間にはどうしても不注意による穴が存在してしまう。万が一だろうが不測の事態があってはならない。 仲は悪いが、ユーリとフレンの中身はそれなりに買っていたデュークだったので、実に不本意ではあるのだがのボディガードを要請したのだ。 (だからといって……私のに手を出したりしようものなら、斬る) (俺以外の男には触らせたりしねぇよ、もちろんアンタにもな) (は僕が公私ともに全力で守らせていただきますよ、僕の恋人として、ね) それぞれが笑顔もしくは無表情でばちばちと火花を散らしているのも知らず。その激戦区の傍らで争奪戦の元になっている筈のは一人暢気に喜んでいた。
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