ユーリ×唇から出血 「敵だー魔物だー」 「!? 何処」 ガッン!! 「だッ……!」 「〜〜〜〜……っっ」 以上、木の根元に寄りかかってぐっすり眠ったユーリを起こそうとしたら、 飛び起きたユーリの頭が私の顎に激突すると言う大惨事の一部始終です。 ユーリは頭を、私は顎と口元を抑えて声もなく悶絶すること数秒。 ちょっとだけ先に立ち直ったユーリは涙目で私を睨む。 「がーっ……おま……っ、起こすならもうちょっと手段選べよな……って、どしたよ唇」 「ごめん……いたた……ユーリの頭突きの拍子に唇噛んじゃったぽい……」 うえぇ血の味がする、と顔を顰めているとくい、と顎を持ち上げられ……!!!? 「……おー、鉄の味……」 ぷっつり膨らんだ血の玉ごと唇をベロンと舐めて、ユーリも顔を顰めた。 ユーリの予想外の振る舞いに顔が赤くなる。 「な、もう、何、なにす「お、また血が出てきたな」ん……っ!!」 今度は抗議の声ごと舌まで絡め取られた。 レイヴン×捻挫 「やーっぱり隠してたわねぇ」 「わぁ!?」 町に到着して、一度解散した後。 噴水の縁に座り、ブーツを脱いで確認してた背後から飄々とした声。 振り返るとレイヴンさんが茶目っ気たっぷりにウィンクしてよこした。 「おかしいと思ったよー、何で捻挫隠してたんだい? 言や良かったのに」 「……何となく言いそびれて……」 気まずさから顔をまっすぐ見れない私の頭を撫で撫でして、 「ほんじゃま、治療してもらいに行きますか」 ひょい、と私を横抱きにして持ち上げる。 「ちょ、レイヴンさん何ですかこれ! どうするんですかっ」 「おっさん今手持ちのグミもないし? 治療できないこともないけど矢を撃たなきゃでしょ。街中でそれはちょっとねー」 聞けば納得の内容だけど、何で抱っこされるんだろう……。 「捻挫をバカにしちゃあかんよーこれ以上歩かせたら治るものも治んなくなるからね、おとなしくおっさんに抱かれててちょうだいな」 まぁ、俺としちゃぁこの抱っこは役得だから気にしない気にしない。ね? とにっこり笑ったレイヴンさんには、逆らえる気がしなかった。 フレン×指先から出血 ざくっ、とえらく小気味良い音がした。 「やっちゃった……」 包丁で指を切るとか久しぶり過ぎてちょっと笑える。痛いのは痛いけど。 とりあえず切った指先を上に向けたまま包帯を探していると、 「ちょ……!? どうしたんだいその指は!?」 青くなったフレンが慌しく駆けてきた。随分強い力で手首をつかまれたと思ったら、 フレンは何のためらいもなく出血続く指を口に含み、って、(そこまで冷静に観察しておいてなんだけど)思わず悲鳴をあげた。 全力で指を引き抜こうにもその全力がフレンの力に敵うわけもなく、ただひたすら血を舐め取るフレンの舌の動きに声をあげないように耐える。 「……っはぁ、こんなものかな」 ようやく指が唇から解放されて、どぎまぎしながらフレンを伺った。 大丈夫? と今更のように尋ねるフレンの唇に私の血の赤がちらりと染み付いているのが見えて恥ずかしいやら怒りたいやら、 「どうしたの? ……驚かせちゃった?」 「か、かなり、驚いた、よ! いきなりだし……フレンが吸血鬼にでもなったのかと……」 「あはは、吸血鬼か。君相手限定でなら吸血鬼になってもいいかな」 私が恥ずかしがっているのなんてお見通しのフレンが甘ったるい笑顔でそんなこと言ってのける。 それを憎たらしく思った私は、背伸びしてフレンの唇に残る私の血を舐め取ってやったのだった。 真っ赤になって動揺するフレンを見て(勝った!)と思ったのは勝者の特権でしょう。 ※掲載期間 2011/10月下旬〜2011/12/07
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